橘内畳店伊達市梁川町

“若手”として様々な切り口から畳の可能性を模索している。
ショールームという発想

伊達市梁川町、国道349号線を北上し広瀬川を渡ると、『橘内畳店』の緑の看板が目に飛び込んでくる。店舗には大きなガラス戸。その背景には畳製造の現場を見てほしいという、職人の想いがあった。
一方、県内の畳を取り巻く状況は厳しい。職人の高齢化が進んだこともあり、どの店も人気商品の開発や製造、後進の育成に消極的だという。
そんな中、新しい販路を探していた橘内さんは、ガラス戸に印刷物を貼り、一般客に広くPRすることから始めようと考えた。
『伊達市商工会』の経営指導員と店の奥で打ち合わせをした時のこと、無造作に置かれたカラフルな畳ヘリやミニ畳の試作品を見て、指導員が言った。
「なんで一番奥に、こんなきれいな物を置いておくのですか?」
「思い切ってショールームを作り、畳を知るきっかけとして、材料や和モダン小物を展示してはどうでしょう?」
こっちの方がかわいい?
おりしも「進める時には進もう」と考えていたタイミングだったこともあり、前例の少ない『畳ショールーム』に向けて「小規模事業者持続化補助金」の申請を決めた。
とりわけ申請書の文書作成には、苦手意識があったという橘内さん。「これでわかる?」とラインで指導員に文章案を送り、客観的な視点から添削してもらった。面談による打合せとラインによるやりとり。デジタルとアナログの両面による連携が功を奏し、補助金採択につながった。
その後もチラシ広告等で、技術・品質・価格を明確に表示したいと、キャッチボールの様な意見交換を続けた。
現在、ショールームでは一般消費者へのアプローチとして、ミニ畳作りのワークショップを開催している。材料として使われる畳表やヘリはカラフルで、眺めているだけでワクワクする。
ある時、若い女性がヘリの表裏を間違えた。テープ状に織られたヘリは、両面とも華やかで間違えやすいのだ。「それは裏ですよ」と声をかけると、「こっちがかわいいから、裏返して使いたいのです」と、想定外の返事。職人として作る際は裏返しなどタブーだったが、「これも時代の声、おもしろいな」と心に留めた。
そんな柔軟性は、堅実な技術と共に畳を未来につなぐ両輪かもしれない。ショールームに新規の注文が舞い込んだことは言うまでもない。
自分にできること

橘内さんはライフワークとして、全国の関連業者と情報交換、イグサ産地・熊本の生産者を訪ね、京都での勉強会等に参加と、様々な場に足を運んで、人から学ぶ様にしている。
また昨年、伊達市が水害に見舞われた時、ボランティアの人達が黙々と片付けを手伝う姿を目の当たりにし、考えた。
自分にできることは何だろう?
今、畳の乾燥サービスのアイディアを温めている。撥水性・抗菌性のある材料を使えば、湿気やペット、介護世帯のニーズに対応できるのではないか。
自分にできることは、仕事に取り組むこと。橘内さんは今も「進む時」にいる。
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