有限会社 齋藤工務店県北エリア

齋藤政利一さん
明治41年に福島県国見町の中心に位置する藤田商店街と町役場のあいだに事務所を構え、地域に密着した工務店として100年以上営業を続けている『齋藤工務店』。次代を担う後継者となる四代目 齋藤晃一さんにお話を伺った。

“本当に温かい家”を提供する

齋藤工務店では新築住宅設計・施工、リノベーション・リフォーム設計施工、屋根・外壁・水廻り、内装、店舗、介護リフォームなど住宅全般に関わる工事を一貫して行なっている。経営理念には「本当に温かい家を提供する」とある。近年ニーズが高まっている“高性能エコハウス”の施工に対し「確かな技術力を提供できます」と齋藤さんの声に力が入る。また、打ち合わせ・設計・施工・現場管理・アフターフォローまで一貫して行なっているため、お客様との価値観の共有や様々な要望に応える自由度が強みだ。
齋藤さん自身はデザイン性に優れた家が好みだが、それとともに永く住み続けて経年変化を楽しめるといった観点から自然素材を使った提案をしているという。自然素材は合板や表面を加工した素材より耐久性があり長持ちする。家というのは、建てた時が100%で年月が経つにつれどんどん価値が下がっていくものではなく「永く住んでいくうちに100%にどんどん近づけていくもの」という考えである。今の技術を活かし百年以上も永く住み続けられる家を目指している。

若い世代へ“伝える”

曽祖父の代から長年培ってきた確かな技術力は有るのだが、現在の顧客層は50代以上が中心だという。齋藤さんは、これから新しい家を必要とする自分と同世代あるいはもっと若い人たちへのアピールがまだまだ十分ではなく、以前より自社のブランディング力に課題があると感じていた。
2021年に商工会の自社ブランディングに関するセミナーに参加し、その流れで「自分のやりたいことを実現するにはどうすれば良いか」と商工会に相談した。これをきっかけに、補助事業を活用した戦略を立て経営計画書を作成し実行するなど、若い世代に“伝える”ことを軸とした新たなチャレンジへの取り組みが始まった。

効果を数字でわかりやすく、SNSで若い世代に

齋藤さんはこれまで経営計画書などを作成したことがなかったが、不安を抱きながらも経営指導員と何度もやり取りを重ね、無事作成することができた。その結果、国見町の2つの補助金を申請し採択された。


2021年度には住宅のスキマの量を測る気密性能測定器や、住宅の光熱費をシミュレーションするためのソフトを導入し“伝える”ための提案力強化を図った。また2022年度には自社ブランディングの第一歩としてロゴマークのトータルデザインに取り組み、現場でも『齋藤工務店』の仕事だと一目でわかるようロゴ入りの施工看板や足場シートを作った。「これからホームページやSNSでの情報発信にも取り組んで若い世代に弊社の“本当に温かい家・永く住める家”をどんどん伝えていきます」齋藤さんにはこの先の道筋がはっきりと見えている。

そして新たなチャレンジへ

いま新たな事業展開として、国見町内の駅前エリア再開発事業『国見エコタウン〜森のスミカ〜』に参画している。民間企業が駅前の土地を分譲しエコハウスを建てる、新たな“ライフスタイル”そのものを提供するエリアデザイン事業である。施工を齋藤工務店が担当し、ここに8棟の“本当に温かい家”を作ると意気込む。すでに1棟が完成し、2棟目も間も無く完成予定だ。また現場にあるロゴマーク入りの施工看板や足場シートを見たと外注施工の依頼を受けたこともある。徐々にではあるが自社ブランディングの成果が出始めている。
商工会への相談は、自分の思いを言語化してわかりやすく伝えることができ、事業の在り方を考える良い機会になったという。また「自分の考えがまとまらない時も的確に道筋を示してくれ、とても心強かったです」と、隣に座る経営指導員に向かって微笑む。

次世代へつなぐ

父が築いてくれた斎藤機械サービスの信用を自分が引き継ぎ、それを次の世代へ、さらに良い形で引き継いでいくために今を頑張る。
「何かにチャレンジする人には『自分の限界を自分で決めるな』と言いたいですね。その先に見える景色がきっとあるはず」
この力強いメッセージをしっかり受けとめ、さらに進化する斎藤さんの次の手をワクワクする気持ちで待ちたい。

“小さい家”の魅力を伝えたい

2024年以降は、建築を計画している齋藤さんの自宅をモデルハウスとする予定だ。「まず自分が住んでみないと説得力がない」と笑顔で語る。あと一つ「家は“小さい”方が良いと考えていて。必要以上に大きくなく形や間取りもシンプルな、ちょうどいいサイズの上質な家を提案したいです」その方が熱効率も良く結果的に光熱費の削減にも繋がるとのこと。 「同じ価値観を持つ人に、自分がやりたいこと、今やっていること、そして自分の思いが届いたら嬉しいですね」
 何年か後、この街には齋藤さんが手がける“本当に温かい小さい家”がたくさん立ち並ぶことだろう。

有限会社 齋藤工務店 有限会社 齋藤工務店
齋藤政利
福島県伊達郡国見町大字藤田字町裏8
明治41年
建設業
国見町商工会

福島県商工会連合会イノベーションサポート INNOVATION SUPPORT

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