ヘアーサロン・ベルフ田村市常葉町

渡邉真澄さん
田村市常葉町にヘアーサロンを持ちたいと考えていた渡邉真澄さん。
開業を意識した時期に、次々と建物や情報に出会い、商工会の存在を知った。
経営指導員と一緒に駆け抜けた1年。36歳で夢をかなえた。

開店を目指し夢中で駆け抜けた一年

ニーパッパで見かけた空き家

国道288号線・通称“ニーパッパ”、常葉町中心部の西側に、かつて20年間放置されたままの住宅があった。
通勤に同線を利用する渡邉真澄さんはドライブ中、視界の開けた場所に建つその空き家が、なぜかいつも気になっていたという。
改修して美容院として活用させてもらえないかと持ち主を探すと、くしくも知人の所有であることが分かり、約束を取り付けた。にわかに、自分の店を持つという長年の夢が現実味を帯び、わくわくした。
そんな折、当時働いていた美容院で、接客中の会話から「商工会が開業のサポートをしてくれる」という情報を得る。
「当時の私は、自営業者のための団体という先入観がありました。まだ経営者ではない一従業員である私の相談を商工会が対応してくれるのかなぁ?と臆する気持ちがありました。」
創業すると決心した後日、同じニーパッパ近くに『常葉町商工会』があったことを思い出し、自分を励ましながら訪ね打ち明けたところ、経営指導員の対応が「めちゃくちゃ親身でびっくりした」という。

小さな宿題の繰り返し

短い期間に物件や情報、人が現れる展開を追い風と喜んだ渡邉さんだったが、落とし穴もあった。一番の課題である資金調達で、最初に相談した金融機関から融資を断られてしまったのだ。
やる気が先走って現実を知らなかったと意気消沈したが、落ち込んでいる暇はない。目標を県の『創業促進に向けた設備投資等支援補助金』に定め、経営指導員のサポートを受けながら、申請書作成に着手する。
補助金申請には、膨大な資料提出が求められる。起業を目指す人の多くが、途中であきらめたり、予定変更や延期せざるを得ない理由のひとつに、書類作成の難しさがあると言われている。
渡邉さんは経営指導員から「この書類を○日までに用意して下さい」と“宿題”を出されると、提出期限をカレンダーに書き込み、指導員のアドバイスを受けながら、幾度となく創業計画のブラッシュアップを繰り返した。宿題という小さな“約束”を守り続けたことで、渡邉さんの本気が支援する側の本気をも引き出したという印象を受ける。
その過程で事業計画や利益計画等の知識をおのずと学び、視野が広がっていったことも良かったという渡邉さん。
「店を持ちたい気持ちだけで、ひとりで空回りしていたら、結局は遠回りになっていたかもしれません」。
採択後に予定外の一部変更が生じ、「どうしよう……」と経営指導員に泣きついたこともあったが、「大丈夫ですよ。困ったら、また一緒にがんばりましょう」と返してくれる言葉が心強かったと話す。変更申請もその後、無事採択された。

ラッキーな偶然が続く理由

「何かやろうと思ったタイミングで、不思議ときっかけとなる人が現れるのです」と笑う渡邉さんだが、少し考えて続けた。
「ラッキーな偶然が重なった様に思えますが、要因となったのはやはり、自分がどう動くか?ということだと思います。まず『やりたいことがはっきりしていたこと』、そして『最初の一歩を自分で踏み出したこと』『少しずつでも段階的に続けたこと』です」。
将来少し余裕ができたら、一人の店のメリットを生かし、お年寄りの送迎や訪問カット等のサービスを提供したい。お客様と1対1で向き合い、たわいのない話をしながら、穏やかに続けたいと語る渡邉さんは、もうすっかり経営者の表情をしている。店名の由来となったベルフラワーの花言葉 “楽しいおしゃべり・感謝”を実践する毎日だ。

ヘアーサロン・ベルフ ヘア-サロン・ベルフ
渡邉 真澄
福島県田村市常葉町久保字川久保179−3
平成30年4月
美容業
1人のスタイリストが最後まで担当するマンツーマン美容室
カット、パーマ、カラー、トリートメント、ヘアセット、着付け可

福島県商工会連合会イノベーションサポート INNOVATION SUPPORT

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