Kokage Kitchen県中・県南エリア

大島 草太さん
東日本大震災以降の福島のイメージを払拭しようと、まだ福島大学の学生だった2019年に立ち上げた『Kokage Kitchen』(コカゲキッチン)。地域の食材を使った“ワッフル”を田村市都路町にあるグリーンパーク都路をベースに、地域のイベントなどにキッチンカーで販売している。今年26歳になる代表の大島草太(おおしまそうた)さんに話を伺った。

学生時代に起業

大学の授業のフィールドワークで東日本大震災の被災地である川内村を初めて訪れ、地域の人たちの温かさに触れた。その後、地域実践型学習『むらの大学』で取り組んだ川内村産そば粉や都路町産たまごを使用した6次化商品として“そば粉ワッフル”を開発し事業化。さらにクラウドファンディングでキッチンカーを導入し、2019年3月に開業した。

福島のイメージを変えたい

「旅をするのが好きなので大学3年の時にワーキングホリデーで海外に行きました。現地で暮らして感じたのが、震災後ということもあり、福島県のイメージがあまりにも悪かったということ。自分は栃木県出身ですが福島大学の学生であり、被災地域の方々にもお世話になっていたので、これはなんとかしなければと強く思いました」
風評被害という大きな課題を実感しつつ、活動の拠点に選んだ都路町の持つ可能性を強く感じた大島さんは、この地域の良さを伝えるため、ここにある資源を使って広く内外に発信しようと決意。学生時代に商品を開発して起業し、キッチンカーという販売手段も手に入れたが、経営に関しては全くの素人。「当時は自分の想いだけで走っていた気がします」と振り返る。
そこで経営のことや事業の将来性について地元にある都路町商工会に相談してみた。
偶然、商工会ではキッチンカーで都路町産たまごを使った特製プリン販売の実績があった。「スイーツつながりで過去の経験や新しい情報なども教えていただき、思ったよりコミュニケーションが取りやすかった」と不安は徐々に払拭されていった。

なんでも相談できる頼れる兄貴

担当した経営指導員は「福島県をなんとかしようという想いと若者の行動力、そしてSNSを利用した情報発信が強み。そこで、それらを活かすキッチンカーのデコレーションやPOP作りなど、具体的な施策を一緒に考え、サポートさせていただきました」と話す。大島さんにとっては頼れる兄貴のような存在らしい。
その結果、今では経営者の視点で物事を見ることができるようになった。「事業計画書もポイントを押さえて上手く作れるようになりました。どんな質問にも期待以上の答えが返ってくるのでありがたいです」と笑顔で答える。

地域のロールモデルに

大島さんは、地域の人々との繋がりからグリーンパーク都路にあるクラフトビール醸造所『HOP JAPAN』の醸造士という肩書きも持っている。そこで今、醸造したあと捨てられる“モルト粕”をなんとか、おつまみにもなるお菓子にできないかと思案中。「モルト粕はスーパーフードと呼ばれるほど栄養が詰まっている。捨てるのはもったいないですよ」
また後輩である福島大学の学生とグリーンパーク都路で栽培されている赤そばや規格外で破棄される果物を使ったドライフルーツ・ハーブティーなど、新しい商品の開発も進めている。なかなかに忙しい毎日だ。
「若い人たちにどんどん関わってもらって、この地域のロールモデルになるようなことをやっていきたいですね。初めは人のためにと一生懸命やってきましたが、今は自分も楽しくなることが大事なんだなとわかりました」
この地域で若者たちが元気に活躍し近い将来、海外からも“福島県産そば粉ワッフル”やモルト粕を使った新商品の注文が入ることを期待したい。

Kokage Kitchen
大島草太
田村市都路町古道地区
主な販売場所 グリーンパーク都路
平成31年3月
菓子製造販売業
都路町商工会
Instagram https://instagram.com/kokage_kitchen?utm_medium=copy_link

福島県商工会連合会イノベーションサポート INNOVATION SUPPORT

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