有限会社 鈴木畜産福島県石川郡石川町

“鈴木  智巳さん
『石川はちみつ牛』500頭を育てる県内屈指の肥育農家『鈴木畜産』が、昨年の事業承継を機に、一層のブランド化を進めている。品質に対する自信を胸に、大きな市場に乗り出した。

ブランド化で気づいた自分らしさ

ブランド化への取り組み

『石川はちみつ牛』の歴史は11年前、先代が「自然の食材で疲労回復やストレス軽減に効果がある」と、黒毛和牛にはちみつを与えたことから始まった。「まず牛が健康であること、その結果は必ず良い肉質となります」と語る鈴木智巳さんは肥育農家の二代目。2017年に事業承継したのをきっかけに、震災で中断していた加工品の販売を再開。「持続化補助金」「福島県6次化ステップアップ補助金」等を活用して、従来のイメージを一新する取り組みを始めた。
ブランド化に向けた第一歩としてデザインの重要性に着目し、ロゴマーク・パッケージ・カタログ・ホームページ等のデザインをプロに依頼した。漢字の「牛」とカタカナの「ハチ」のどちらにも読み解けるロゴマークは、シンプルでスタイリッシュ。さらに発明協会を通じ、類似デザインがないか著作権の確認も行なった。
主軸となる加工品は、「塩だけで食べられるハンバーグ」と「ソースのいらないローストビーフ」。「余計な味付けが必要ない」とうたうのは、素材に対する自信の表れだろう。
ネット等で広く販売するには、数字をきちんと算出する必要がある。そこで税理士から製造原価の、食品加工に精通した中小企業診断士から価格設定のアドバイスを受けた。
そんな新規事業に対し、地元の石川町は積極的にイベント等でPRする機会を作り応援してくれた。

大きな商談会に初めてエントリー

「それら煩雑な作業すべてに関わり、助けてくれたのが商工会連合会です」と鈴木さんは振り返る。市場調査と称して、担当者と有名飲食店に幾度となく足を運んだ。「男性が2人、調理方法や調味料を観察する様子は、かなり怪しかった」と苦笑する。
分岐点となったのは、都市圏でどう評価されるか知りたいと、商談会『地方銀行フードセレクション』にエントリーした時のこと。ふたを開けてみると、都内デパートや高級スーパーから取引依頼が相次いだ。あるバイヤーからは「桐箱に入れたいクオリティ」と太鼓判を押されたという。
牛の健康を第一に考え、自然食材のはちみつを与えてきたことが、桐箱にふさわしい品質と認められたのだった。父の努力が報われたと思う一方で、「適正な価格で信頼できる方に取り扱ってもらいたい」と、気持ちを新たにした。そのために今は販路拡大より、地固めの時期だということにも気づいたという。

夢は足元に

「うちの第一の仕事は、良い牛を育てること」という原点に立ち返った鈴木さん。「生き物の命をいただくからこそ、おいしく残さず食べてほしい」と続ける。
最近、都内の飲食店グループのオーナーが牛舎を訪れ、同行の社員達に「大切に育てられた牛だから、感謝して調理しなさい」と言ってくれた。肥育農家として誠実に取り組んできた背景を理解してもらえたと感じ、迷わず商品を託す気持ちになった。
また鈴木さんはライフワークとして、地域における小中学校の「すき焼き講座」「テーブルマナー教室」に牛肉を提供し、おいしい良質の牛肉を知ってもらう活動を続けている。小学校で試食した子から「また食べたい」とせがまれ、親が『鈴木畜産』を探し訪ねてくれたのは、プロのバイヤーに認められた以上にうれしかった。
どのように売っても、1か月に出荷できる限度は20頭。ならば遠くの街ではなく自分の町で認識され、いつか石川町イチオシのブランドにする。夢はこの町に、足元から始めたい。

ハンバーグ 500円ギフトセット 5,000円~
石川はちみつ牛

ギフト品購入は石川町『山桜』、食事は石川町『居酒屋みなみ』と首都圏に多店舗展開している『粉者』に限定している。

鈴木畜産のHPはこちらから!

有限会社 鈴木畜産
鈴木 智巳
福島県石川郡石川町坂路字馬場宿78
昭和10年(平成10年法人化)
食品加工業
和牛の肥育及び牛肉商品の販売

福島県商工会連合会イノベーションサポート INNOVATION SUPPORT

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