橋本板金工業所いわき・相双エリア

1989年に創業し36年目を迎える。
2024年1月に2代目として社長に就任した橋本正浩さんにお話を伺った。

板金業を承継する覚悟
「橋本板金工業所」は、いわき市を中心に住宅や倉庫における板金屋根や雨樋など板金工事一式を請け負っている。いわゆる建築板金と呼ばれる分野だ。
「住宅に欠かせない板金業を将来にわたって継承し続けたい」と語る橋本さんは現在42歳。先代である父から会社を引き継いで間もないが、業界全体で後継者が減少している中、この職業を絶やすことなく発展させていきたいと意気込む。父の教えを忘れず、弟と共に家族一丸となって事業を進めると決意した。
強みを武器に
「当社の強みは、家族経営ならではの親しみやすさとお客様との距離の近さにあります」と自信を持って語る。確かな技術力に加え、コミュニケーションや信頼関係の構築が強力な武器となる。
コロナ禍以降、材料費や燃料費の高騰でお客様の負担が大きくなってきている。それ故に仕入れ先を比較しながらお客様に最適な材料を選ぶようにし、仕入れ時期のベストなタイミングを計ってできるだけ安く仕入れる方法を探るなど、あらゆる努力を惜しまない。コストを抑えつつ質の高いサービスを提供するにはどうすれば良いか、あれこれ悩む日々が続く。
青年部でのつながりを活かす
また橋本さんは、三和町商工会青年部の部長を2期4年間務めている。2023年から始まった商工会青年部主催のイベント「ほたるのさんぽみちinみわ」では、近くを流れる好間川でホタル鑑賞会を実施。地域の賑わいを創出し、三和町の交流人口を増やすなど地域貢献活動に寄与している。いわき市長が足を運ぶなど、地元三和町やいわき市からの期待度や信頼度はかなり高い。

商工会に相談して良かったことは「商工会を通して地元の方々に後継者として認識していただく機会が増えたこと」だと話す。事業承継に伴うセミナー参加などが、同じ立場にある他業種の方々と知り合うきっかけにもなり、ビジネスチャンスが増えた。住宅の建築板金業という地域に密着した仕事だからこそ、地元の情報や地元独自の悩みなどを見聞きする場は大切だという。さらに青年部の活動を通じて地域外との交流も生まれ、そこから次の仕事に発展することもあった。『つながりを大切にしたい』これが橋本さんの一番の思いである。
若い人材を育てる

もう一つの課題、後継者となる若者人材不足の問題については、建築業全体に言えることではあるが、『きつい』『きたない』『危険』という悪いイメージを払拭する、新たなイメージを伝えていきたいという考えだ。建築板金業の良いイメージとして、橋本さんは「住宅に欠くことのできない重要な仕事である」「お客様の反応を直に受け取れるという『充実感』が得られる」「板金の加工作業を通して手先が器用になるという+αな『成長感』や『満足感』が生まれる」などを挙げ、それらを機会があるごとに発信していきたいという。そして、案外クリエイティブな仕事だということも合わせて発信したいと微笑む。
最近では、子どもたちにも建築板金業という仕事を知ってもらいたいと、地元中学生のために出張講座を実施するなど若い人材確保のためのアプローチにも力を注ぐ。また、普段の仕事の中でも次世代の経営者として成長するための努力を惜しまない。商工会の支援によってDXの推進に向けたセミナーを受講し、デジタルツールを活用した業務効率化に向けた取り組みを模索している。これからの時代に合わせた経営を目指し「柔軟で素直な姿勢を持ち続けたい」と語る。新しいことにもチャレンジする姿勢が実に頼もしい。
一生現役で次世代へバトンをつなぐ
「人が歳を取り体のあちこちが悪くなるように、家も長年住み続けると傷んでくる。建築板金という仕事は家のお医者さんのような存在で、メンテナンスのために必ず必要とされる」というのは先代の言葉。まさに「住宅に欠くことのできない仕事であるという自負」がそこにある。
「私の仕事をできるだけ多くの方に知っていただき、今まで築いてきた『つながり』を大切にして『この人がいるからここに仕事を頼みたい』というふうにしていきたいですね」と先を見つめた力強い眼差しで語る。
「夢は一生現役であり続けること!」
地域や業界に貢献していく姿勢を忘れることなく、次世代へバトンをつなげていきたいという新社長の歩みは始まったばかりだ。
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