南屋 Le M’(ル・エムズ)県北エリア

二本松市油井漆原町、智恵子記念館の近くに店を構える『南屋Le Mʼs (ル・エムズ)』。食を通じて家庭や人と人とのつながり、笑顔や幸せに貢献することを経営理念とする。
創業は大正13年。小さな駄菓子屋から始まり地元に愛され続け、2024年に開業100周年を迎えた。
これから新たな挑戦に取り組む老舗菓子店の4代目、安田直之さんにお話を伺った。
スポンジ作りのこだわり
『南屋 Le Mʼs (ル・エムズ)』の強みは、初代から100年にわたり受け継がれてきた和菓子の伝統技術と、10年前に導入した“石窯を超える”と評される南蛮釜(通称・スポンジ釜)による洋菓子づくりの技術を併せ持つ点にある。
「スポンジ作りには強いこだわりと自信があります」と安田さんは笑顔で語る。スポンジは洋菓子の命。そのふんわりとした食感としっとりとした口どけが、店の味を決定づけている。
主力はデコレーションケーキ。顧客のさまざまな要望にできる限り応える姿勢を大切にしている。取材当日も、いちごのタルトにリクエストでオリジナルのバラの飾り菓子を添えた、可憐なデコレーションケーキを仕上げていた。
「お客様の喜ぶ顔が見たい」。その思いが、日々の菓子づくりを支える原動力となっている。

4人から3人体制へ
2025年8月、それまで大黒柱として『南屋菓子店』を支えていた3代目ご主人が逝去された。和菓子と共に洋菓子製造も軌道に乗せ、4代目夫婦と共にこれからさらに頑張っていこうとしていた矢先のことだった。
深い悲しみの中、「製造の体制がこれまでの4人から3人になり、今後事業をどう展開していこうか」と悩んだ。

まずは製造体制を盤石に

商工会には、2023年のセミナーへの参加をきっかけに経営基盤の強化や新商品開発、広報戦略など相談を続けていたが、途中で一度、方向性の見直しが必要となった。
「まずは、しっかりと製造できる体制づくりから」。その実現には、人材の確保も大きな課題として浮かび上がった。
「商工会に相談するたびに、一緒になって考えてくださって、ぼんやりしていた経営ビジョンが少しずつ形になっていくのを感じました」と語る。担当する経営指導員への感謝の言葉が自然とこぼれる。
現在は、商工会の勧めでいくつかの催事に参加し、商品開発や販路拡大に向けたアンケート調査を実施。さらに、新たなパッケージデザインの検討や、ECサイトへの登録準備など、さまざまな支援を受けながら新たな挑戦を続けている。
二本松の新しいおみやげとなるお菓子を

和菓子の100年にわたる伝統技術と、スポンジ釜で焼くこだわりのスポンジを中心とした洋菓子の製造技術で、二本松の新しいおみやげとなるようなお菓子を作りたいと語る安田さんの目が輝く。経営基盤が整い次第、新商品の開発を進めていきたいという。
現在、デコレーションケーキをはじめ、『スポンジ・ラスク』『生シュークリーム』『マカロン』『焼きプリン』『ガトーショコラ』などの人気商品を中心に、素材にこだわった80種類以上の菓子を製造している。その中でも「二本松といえばこれ」と呼ばれるような新しい看板商品を生み出したいという。「例えばここは智恵子の里が近いので、智恵子抄のレモン哀歌にちなんだレモンを使ったお菓子とか…」すでに構想はいくつもあるようだ。
将来は、大きなラスク工場を建てたいという壮大な夢もあるとのこと。しかし今は、「まずは製造体制をしっかり整えることが何より大切。すべてはそこからです」と言葉に力を込める。

店頭に並ぶケーキや焼き菓子、和菓子は、どれも少しだけ小さめに作られている。「もうひとつ食べたい」と思ってもらえるように。そんな細やかな心遣いが、この店の味わいをより深いものにしている。
近い将来、二本松を代表するおみやげとなるであろう『南屋 Le M’s』の新作菓子。その誕生を心待ちにせずにはいられない。
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